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国際関係マニア的な視点で日本史をマニアックに読み解いた、『藩と県 日本各地の意外なつながり』


藩と県 日本各地の意外なつながり藩と県 日本各地の意外なつながり
(2010/09/23)
赤岩州五北吉洋一
装丁者:津嶋佐代子
発行者:藤田博
発行所:草思社
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世界史と日本史が相反する二項対立概念ではないと気が付いたのはつい最近。明石書店のエリア・スタディーズや中公新書の物語の歴史シリーズは、ほとんど目を通しているぐらい、諸外国事情マニアです。エクアドルとかマラウイと聞いただけで、興奮してしまう弱小国愛好家。各小国史が日本史より詳しかったりします

なんでみんな外国とか外資系というとアメリカ、中国、せいぜい韓国ぐらいしか連想しないんでしょう? 他にも国はいっぱいある

そんなある日、「もし自分が日本人じゃなくて、例えばアルバニア人だったら日本史の本を読み耽っているだろうな」と気が付きました。日本も世界史的に見て、アルバニア並に奇妙な国です。鎖国したり、日独伊軍事同盟の一翼を担ったり。

成毛眞さんのブログで言及された超マニア向け『アルバニアインターナショナル』の読み方のコツ

成毛眞ブログ『アルバニア・インターナショナル』

そう思うと高校時代に世界史マニアとして、日本史を敵視していたのは大きな過ちだと思い、今では日本史自体も相対的な視点で各国史の中の一つの歴史として結構読んでいます(ただし近現代史のみ)。去年は日本史初となる『ダメ人間の日本史』を刊行しました。


ダメ人間の日本史―引きこもり・ニート・オタク・マニア・ロリコン・シスコン・ストーカー・フェチ・ヘタレ・電波 (ダメ人間の歴史)ダメ人間の日本史―引きこもり・ニート・オタク・マニア・ロリコン・シスコン・ストーカー・フェチ・ヘタレ・電波 (ダメ人間の歴史)
(2010/03)
山田昌弘、麓直浩 他

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それでもう一つイメージを膨らませて気が付いたのが、もし自分の様な国際関係マニアが大昔に生まれていたら、日本の各藩自体の交友関係、外交関係に異常に興奮していたのではないかという事。まだ鎖国していた頃であれば、ヨーロッパやアフリカは現在の宇宙並に掛け離れた存在で、あまりリアリティを感じなかったかもしれません。

一方で「日本」という単位が今で言う「地球」ぐらいの感覚に思えていたと思うので、各藩のマニアックな話、結びつきにハマっていた可能性大です。

そんな自分にとって実に素晴らしい企画だと思ったのが赤岩州五さんと北吉洋一さんによる『藩と県』という本です。もともと「転封」という概念の企画ができないかと考えた事はありました。『世界飛び地大全』の様に、有り得ない人・モノが有り得ない場所にいるという事態に興奮してしまう質なのです。


世界飛び地大全―不思議な国境線の舞台裏 (国際地理BOOKS (VOL.1))世界飛び地大全―不思議な国境線の舞台裏 (国際地理BOOKS (VOL.1))
(2006/08)
吉田 一郎

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京都とか江戸の大都会や慣れ親しんだ城下町からいきなり、理不尽にも過疎地に送り込まれたりした殿様達の憐れな境遇と、そこから今に至る名残などの点と点を線で結んで、解説すればオモシロイのではないかと思っていました。また「島流し」という概念も合わせて「殿様達の移動」という切り口から日本史を読み解けば、日本の中の国際関係史の様な企画ができると思ったのです。しかしほとんど日本史の教養がないので、誰に頼めばいいのか不明で放置していました。

そして『藩と県』という本が出たのを発見した時、「まさにこれだ!」と驚きとショックを隠せませんでした。これこそ自分が読みたかった本、作りたかった本と、歯ぎしりをしました。読んでみて更にその思いは強まりましたが、自分にはここまで素晴らしい作品に仕上げる事はできなかったと思います。

例えば岐阜市加納と兵庫県明石市は距離も離れており、一見何の関係もなさそうですが、「和傘」という点で強い結びつきがあります。寛永16年(1639年)、明石藩藩主の松平光重は加納藩に転封されます。この殿様と一緒に明石から移ったのが和傘職人です。明石は国際貿易港、堺から近く、ルソンから豊臣秀吉に献上された傘を光重が家中の職人に作る事を命じたのではないかとの事です。体面を重んじる武士としてはひっそりと家内で内職できる傘作りは打って付けだったので、加納藩は傘作りを産業として育成していきます。今でも和傘といえば岐阜らしいのですが、もともとは明石がルーツだったのです。

奈良県の大和郡山市と山梨県の甲府市も無関係そうですが、「金魚」で繋がります。甲府を治めていた柳沢吉里が大和郡山(奈良県)に転封を命じられるのですが、総勢5286人の家臣を引き連れて国替えになります。その中で吉里が趣味で飼っていた金魚を大事に運ぶ、横田又兵衛という家臣がいます。そこから金魚の養殖が新天地、大和郡山の下級武士の内職として広まります。廃藩置県後は柳沢保申による柳沢養魚研究所などを経て、集団養殖場が成立していきます。今では大和郡山で「全国金魚すくい選手権」が開催されています。

この様に一見なんて事ないモノを仲介して、全く無関係そうな県・地域が繋がっています。殿様達に命じられた席替え、民族移動ならぬ藩移動・藩シャッフルのおかげで日本史の中で意外なシナジー効果が多々発生しています。

また私は本物の江戸っ子(徳川家康の江戸入府頃、もしくは東国の頃からいた人)がほとんど幻並みに少ない様に、千葉県民は日本全国の色んな場所から来た、東京の郊外ベッドタウンの千葉として流入した、ルーツごった煮の様な人達だと漠然と思っていました。というか千葉県民のルーツ自体について特に深く考えた事もなかったのです。千葉県民の方々、すみません。

ところがかなり多くの人達が畿内の特に紀州の漁民の末裔、要するに元関西人らしいです(もちろん今はもっと混ざっていますが)。江戸幕府が開かれた後、関東では特に漁業が行われていなかったので、摂津・和泉の漁師が安房・下総・上総など房総半島に魚を取る為に送り込まれており、銚子に港を作ったりして徐々に定住していったそうです。また紀州の漁民は他にも長崎や日本各地に漁民として移住したみたいです。

この話をある人に話したら、黒潮文化という言葉があって、日本の太平洋側を同じ先祖を持つ漁民達が開拓したらしく、同じ言葉や食文化が離れた沿岸で残っているという事を教えて貰いました。世界史にも共通するのですが、意外な事に昔は内陸を通過するよりも海を渡った方が遙かに簡単だった事が多く、一見地図上で距離がある様に見えても、離れた場所同士が何か共通のルーツを持っている事が多く、驚きです。

人種のルーツに関心がある人にお勧めの本は『人種マニア』です。


人種マニア―有名人のエスニックルーツをカリカチュアで大紹介!人種マニア―有名人のエスニックルーツをカリカチュアで大紹介!
(2010/10)
渡辺 孝行

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またこの本では江戸時代の各藩の江戸屋敷が今現在の東京の地図上に重ねて表示されています。たまに東大や後楽園の前を通っていて、ここは昔加賀藩の屋敷だったのかーと不思議な気分になりますが、そうした江戸史ファンも納得の一冊です。

実は『大使館国際関係史』でも似たような事をしていて、在東京の各国大使館の所在地を地図で表しました。アルバニア大使館は築地の北國新聞ビル内、コンゴ民主共和国に至っては浅草に大使館を置いています。「あ、こんなところにこんな国の大使館がある!」と言った事にときめいてしまう方々に、『大使館国際関係史』はオススメです。地図だけでなく藤原健一さんによる全ての国の大使館の外観も撮影して収録しています!



大使館国際関係史―在外公館の分布で読み解く世界情勢大使館国際関係史―在外公館の分布で読み解く世界情勢
(2009/04)
木下 郁夫

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という訳で国際関係マニア的な視点で日本史をマニアックに読み解いた、『藩と県 日本各地の意外なつながり』、とてもオススメです!
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tag : 藩と県 日本各地の意外なつながり 赤岩州五 北吉洋一 津嶋佐代子

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プロフィール

ハマザキカク

Author:ハマザキカク
社会評論社のサバカルチャー編集者。チュニジア、フィリピン、イギリス、日本育ち。企画、組み版、カバー、全て一人で行っている。毎日必ず最低一企画は立案している。国際関係、共産趣味、変な物のコレクション、そして珍書を柱に、常時30企画を進めている。

手掛けた作品は
『世界各国女傑列伝』
『敗戦処理首脳列伝』
『ゴム銃大図鑑』
『人種マニア』
『超高層ビビル1・2・3』
『一発朗』
『即席麺サイクロペディア』
『ダメ人間の日本史』
『ダメ人間の世界史』
『ほったいもいじるな』
『エロ語呂世界史年号』
『いんちきおもちゃ大図鑑』
『ニセドイツ1・2』
『アルバニアインターナショナル』
『大使館国際関係史』
『ゴム銃オフィシャルガイドブック』
『時刻表世界史』
『世界の首都移転』
『ファーストフードマニア』
『コーラ白書』
『世界飛び地大全』

等多数。

今までハマザキカク個人名義で書店フェアを9回開催した。ブックファースト梅田店『濱崎誉史朗フェア』、三省堂神保町本店『ハマザキカクフェア』、有隣堂ヨドバシAKIBA『Cool Ja本』『Fool Ja本』マルサン書店『Cool Ja本』ジュンク堂書店新宿店『ゴム銃大図鑑フェア』『松マルクス本舗 松田健二の下で働く濱崎誉史朗が選ぶ共産趣味本』等。

現在有隣堂ヨドバシAKIバカVol4『夏葉原 懐かしい昭和のレトロ本』開催中!!』開催中!

この『Cool Ja本』ブログ2011年度スゴブロ4位受賞!

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