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成毛眞さんのブログで言及された超マニア向け『アルバニアインターナショナル』の読み方のコツ


アルバニアインターナショナル―鎖国・無神論・ネズミ講だけじゃなかった国を知るための45カ国 (共産趣味インターナショナル VOL 1)アルバニアインターナショナル―鎖国・無神論・ネズミ講だけじゃなかった国を知るための45カ国 (共産趣味インターナショナル VOL 1)
(2009/08)
著者:井浦伊知郎
編集:濱崎誉史朗
装幀:濱崎誉史朗
DTP:濱崎誉史朗
撮影:井浦伊知郎
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先日、成毛眞さんのブログで『アルバニアインターナショナル』が少しだけ言及されているのを発見し、Twitterでその事について呟いたら、成毛さんから直接、『ゴム銃オフィシャルガイドブック』も取り上げていると声をかけられました。

成毛眞ブログ 『ゴム銃 オフィシャルガイドブック』


ゴム銃オフィシャルガイドブックゴム銃オフィシャルガイドブック
(2009/01)
中村 光児

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本当にその時はビックリしましたが、嬉しかったです。確かゴム銃を書評して頂いた時に、著者の中村光児さんから報告があったのですが、あの成毛眞さんだとは認識しておりませんでした。

なぜ成毛さんのブログを見ていたかというと、『本は10冊同時に読め! 本を読まない人はサルである! 生き方に差がつく「超並列」読書術』を読んでいて、非常に共感したからです。本当に自分も本を読まない人はサルだと日頃思っています。これ以上読書離れが進まない様に、普段あまり本を読まない人達に興味を持って貰える様なムック的な、オモシロ本を作るのが自分の編集者としての役目だと思っています。そして自分の本だけでなく、知的好奇心が旺盛な人達に読んで貰いたいと思っている本を紹介するのが、この『Cool Ja本』ブログの目的の一つです。って偉そうにスミマセン。


本は10冊同時に読め!―本を読まない人はサルである!生き方に差がつく「超並列」読書術 (知的生きかた文庫)本は10冊同時に読め!―本を読まない人はサルである!生き方に差がつく「超並列」読書術 (知的生きかた文庫)
(2008/01/21)
成毛 眞

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サイゾーのインタビューでおおざっぱに月60冊ぐらい読んでいると言いましたが、成毛さんと同様、並読スタイルで乱読しているので、正確な冊数は把握しづらいです。実は多分、100冊以上目を通していると思います。本って最初から最後まで読まないといけないと思っている人が多いと思いますが、そんな必要はありません。自分にとって有益だと思う情報をパッと識別し、駄本はすぐ放り去るのが何よりも大切です。フォトリーディングの本を読んでみたのですが、実はこれってもともと速読家の様な人達は本能的にやっていた事ではないの?と思いました。

それで

写真では右にある赤い背表紙の本は『アルバニア・インターナショナル』だ。この本は超本好きにとっては超面白い本なのだが、ブログでおすすめする気にならなかった。マニアックすぎるのだ。


成毛眞ブログ いま読んでる本

と有り難いお言葉を頂いたこの本について、担当編集者である私が、いかにして楽しめるのか、その読み方のコツと要点を詳しく紹介したいと思います。

まず最初に言いたいのが結構意外と思われる方もいると思いますが、実はこの『アルバニアインターナショナル』はハマザキカク本の中で、最も思い入れがあり、自信作の一つです。この本で自分の編集力、デザイン力、知識、ユーモアで為し得る全ての力を出し尽くしたと思っているからです。重版になったとしても直すべき点はほとんどないぐらい、個人的には完成度の高い本だと思っています。

なんでそんな気合いの入った本に仕上がったかというと、自分自身が日本でアルバニアの第一人者である井浦伊知郎さんに、アルバニアについて「なんで?なんで?」と子供の様に質問しまくって出来上がった、言ってみれば自分自身が第一の読者で、往復書簡的なプロセスを経て組み立てられたと言っても過言ではないぐらい、関与度が濃厚な本だからです。そもそも私はサブカル編集者と思われているみたいで、あえてそれを否定はしない事にしていますが、本当の姿は社会評論社の従来路線である、人文書編集者だと思っています。

最近ではチェコとかクロアチア等東欧諸国は共産主義とかナチスについてよく分かってないミーハー女とかから、プチオシャレ扱いされて結構イライラするのですが、アルバニアはマニア気質の共産趣味者、外交オタク、変態から長年、熱い眼差しを受けてきました。

アルバニアを理解する上で重要なキーワードが「鎖国・無神論・ネズミ講」です。まず日本は近世、鎖国していましたが現代史において鎖国といえばアルバニアというのが常識。その次ぐらいに北朝鮮とかミャンマーが来ると思いますが、冷戦期において「ザ・鎖国」といえばアルバニアというのが定説です。

極東の島国が二百年ぐらい前に諸外国と交流を絶ったのと違い、アルバニアが国際社会から消息を絶ったのは1960、1970年代と極めて最近。従ってその時の立ち振る舞いは極めてキワモノ的で、かなりそそられます。しかもアルバニアの位置はというと、世界文明の発祥地であるギリシャとローマの間。アドリア海に面した東西の交通の要衝で、本来鎖国の真逆のコスモポリタン的な背景を持つ国。

なおかつヨーロッパのバルカン半島に位置しながら、ボスニアと同様、オスマントルコ配下にあったので、アルバニア人はイスラム教徒。更に更にイリュリア語という、周辺のスラブ系民族とは異なるインド・ヨーロッパ語族であり、バスク語の様な孤立言語ほどミステリアスではないが、かなり不明なルーツを持つアルバニア語を話す人達。

そんなイスラム教徒が大半を占める国でありながら、共産主義時代に世界初の無神論国家を宣言し、宗教を禁止したトンデモっぽい国。

また今はモルドバに首位の座を奪われましたが、欧州最貧国でも有名。白人なのに大貧困。そして資本主義、市場経済に全く慣れていないので、1997年には国民の半分以上がねずみ講ににひっかかってしまい、国家が崩壊の危機に瀕し、全土が無政府状態に! 一挙手一投足が矛盾・ギャップ・違和感だらけです。

……とそのあらましを少し解説しただけで、かなりのアヤシサを漂わせるアルバニア。でもそんなアルバニアから世界を見渡してみると、新たな発見がいっぱいあるのではないかと思い、アルバニアと諸外国間に起きたエピソードや事件を集めまくるという主旨の本です。鎖国のくせしてあらゆる二国間関係が全てヘン! 類書を挙げるとしたら実はテリー伊藤の『お笑い北朝鮮』なぐらい、マニア向け、共産趣味者、全体主義萌えの国です。アルバニアを知っている人からは大絶賛、ピンと来ない人からはノーリアクションの、

「知る人ぞ知る、マニアによるマニアの為のマニアの本」

です。要は国際政治史、外交史、東欧史、バルカン史、オスマントルコ史、世界史、現代史、世界情勢、地理、言語学、文学などありとあらゆるマニアックな人文科学的素養がないと中味を理解できない、超人文オタク系の本です。


お笑い北朝鮮―金日成・金正日親子長期政権の解明お笑い北朝鮮―金日成・金正日親子長期政権の解明
(1993/09)
伊藤 輝夫

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それで鎖国とは言っておきながらたまに現代史において、決定的に国際的・インターナショナルな行動に出る事でも知られています。

たとえば「アルバニア決議」というのがあって、中華民国を国連から追放し、中華人民共和国を中国を代表とする決議を提案したのがアルバニアです。アルバニアは親分格のソ連と決別し、兄貴分のユーゴスラビアとも袂を分かち、文化大革命真っ最中で、同じくほぼ鎖国状態の中国と、敵の敵は味方という点で一致し、とても仲良くなります。

しかし「アルバニア決議案」という自ら弾いた引き金が切っ掛けで、ベトナム戦争脱却の為に中国と接近したがるアメリカの手助けをする結果に陥り、今度は中国とも決別し、結果的にごく少数の共産国以外、ほぼ全ての国と交流を絶ちます。世界中、世界史を見渡してここまで極端に短期間で外界と面会謝絶・引きこもりになった国はないのではないでしょうか。国際政治の中で超重要な決定打を打ちながら、自爆するというマヌケさがかなりの失笑を誘います。

またこの本では『大使館国際関係史』の木下郁夫さんのご支援で、在アルバニアの大使館及び在外アルバニアの大使館、そして『時刻表世界史』の曽我誉旨生にアルバニアの国際路線図も提供して貰い、ハマザキカク国際関係著者をフル動員。


大使館国際関係史―在外公館の分布で読み解く世界情勢大使館国際関係史―在外公館の分布で読み解く世界情勢
(2009/04)
木下 郁夫

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時刻表世界史―時代を読み解く陸海空143路線時刻表世界史―時代を読み解く陸海空143路線
(2008/09)
曽我 誉旨生

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挙げ句に「鎖国してたくせにアメリカ人ぶってる」というギャップを演出する為に、Etno Engjujtというアルバニアを代表するヒップホップに私自らFacebookで直接コンタクトを取り、


「共産主義は、俺の知る限りでは、どこの国でも成功したことがない国家体制だよ。」


と、反共思想を吐き出させるのに成功。それをインタビューしたのもこの私。ちなみにこの本は『共産趣味インターナショナル』の第一巻。

唯一刊行後に「しまった!」と思ったのが、99ページのTroutというデスメタルバンドの紹介。この時は理由が分からなかったのですが、一番右のメンバーがVital Remainsというアメリカの大御所デスメタルバンドのTシャツを着ています。Vital Remainsのメンバーにアルバニア系アメリカ人がいて、アルバニアで凱旋ライブをやり、アルバニアでヒーロー扱いされているから、Vital RemainsのTシャツを着ているのではないかと、友人のブルータル・デスメタラーに教えて貰いました。

以下はTroutがGverrに改名した後のライブ映像ですが、かなりお粗末……。



私、Vital Remainsの超絶日系人ドラマー、Dave Suzukiのプロヴィデンスの家に十年ぐらい前、泊まった事があります。


ついでに追記すると先日はEtno Engjujtをバカにしましたが、最近はかなり洗練されてきて、ポーランドやハンガリー辺りにいそうなオシャレヒップホップに進化しています。











と、とにかく何から何までマニア向けの『アルバニアインターナショナル』。成毛さんが書評する気が起きないぐらい濃いです。そしてここまでマニアがウケる様にディープに書けたのは、アルバニアについて何でも知っている井浦伊知郎さんが著者だったからです。私の愛読書の一冊が根本敬さんの『ディープコリア』なのですが、


豪定本 ザ・ディープ・コリア豪定本 ザ・ディープ・コリア
(2002/06)
根本 敬、湯浅 学 他

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この本は個人的には『ディープ・アルバニア』の様な存在です。

そしてその後、成毛さんの大評判・大人気の『大人げない大人になれ!』


大人げない大人になれ!大人げない大人になれ!
(2009/11/20)
成毛 眞

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を読んだのですが、「これって俺の事じゃねーか!」と、かなり感情移入してしまった、変人が変人でいて良いという事を再確認できた素晴らしい本でした。私も熱中できる時間、フロー体験が多いほど幸せな人生だと思います。やりたい放題やって、それが本になり、フェアを開催し、面白がられ、とても有り難い事です。本当に自分も大人げないです。

奇想天外なアイデアを思い付いたり、天の邪鬼だったり、軍事マニアだったり(正確に言うと私は外交マニアですが)、「超並列」読書派だったりと何かと成毛さんと似ていると思いたがるのでした。




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テーマ : オススメの本
ジャンル : 本・雑誌

tag : アルバニアインターナショナル 井浦伊知郎 成毛眞 Vital Remains お笑い北朝鮮 共産趣味

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プロフィール

ハマザキカク

Author:ハマザキカク
社会評論社のサバカルチャー編集者。チュニジア、フィリピン、イギリス、日本育ち。企画、組み版、カバー、全て一人で行っている。毎日必ず最低一企画は立案している。国際関係、共産趣味、変な物のコレクション、そして珍書を柱に、常時30企画を進めている。

手掛けた作品は
『世界各国女傑列伝』
『敗戦処理首脳列伝』
『ゴム銃大図鑑』
『人種マニア』
『超高層ビビル1・2・3』
『一発朗』
『即席麺サイクロペディア』
『ダメ人間の日本史』
『ダメ人間の世界史』
『ほったいもいじるな』
『エロ語呂世界史年号』
『いんちきおもちゃ大図鑑』
『ニセドイツ1・2』
『アルバニアインターナショナル』
『大使館国際関係史』
『ゴム銃オフィシャルガイドブック』
『時刻表世界史』
『世界の首都移転』
『ファーストフードマニア』
『コーラ白書』
『世界飛び地大全』

等多数。

今までハマザキカク個人名義で書店フェアを9回開催した。ブックファースト梅田店『濱崎誉史朗フェア』、三省堂神保町本店『ハマザキカクフェア』、有隣堂ヨドバシAKIBA『Cool Ja本』『Fool Ja本』マルサン書店『Cool Ja本』ジュンク堂書店新宿店『ゴム銃大図鑑フェア』『松マルクス本舗 松田健二の下で働く濱崎誉史朗が選ぶ共産趣味本』等。

現在有隣堂ヨドバシAKIバカVol4『夏葉原 懐かしい昭和のレトロ本』開催中!!』開催中!

この『Cool Ja本』ブログ2011年度スゴブロ4位受賞!

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