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『日本ハーフ現代史』あるいは『ハーフマニア』中身その2

ハーフマニア


間が空いてしまいましたが『『ハーフマニア』の中身お見せします。その1』の続きです。



ハーフマニア


ハーフマニア』では現在の有名人だけでなく、歴史上の有名なハーフも詳細に取り上げています。例えばシーボルトの娘、楠本イネ。ドイツ人シーボルトは当時出島で唯一許されていた「オランダ人」として日本に来日し、遊女お瀧との間にイネを儲けたのでした。尚、イネはその後、日本初の西洋医学による女性産婦人科医となりました。


右ページの人物は寺崎マリ子。注目はこのハーフの人というよりも、その父親、寺崎英成とアメリカ人妻グウェン・テラサキです。年配の方では知っている人も多いと思いますが、『太陽にかける橋』という本で、とても有名です。また秀成は戦後、昭和天皇のご御用掛として『昭和天皇独白録』を書いた事でも知られます。


『太陽にかける橋』は私の愛読書でもあり、著者のミスター・ユニオシにも取り上げるよう強くお願いしたのでした。


日本の外交官寺崎英成は在アメリカ大使館に勤務している時に、アメリカ人女性グウェン・・ハロルドと恋に落ち、周囲の反対を押し切って、結婚したのでした。時は日米関係が悪化している真っ最中で、秀成自身、日米開戦を回避させる為に、色々と奮闘します。しかし真珠湾攻撃が起きてしまい、日本とアメリカは戦争に突入してしまいます。そんな中で、アメリカ人妻であるグウェンは、秀成や娘マリ子と共に、日本人が抑留されているホテルに自らも、アメリカ人でありながらも同行し、交換船で、戦時下の日本に渡ります。


「鬼畜米英」と罵られるアメリカ人でいながらも日本人に嫁いだ身として、戦時下の日本で堪え忍ぶグウェン。表向きアメリカ人として迫害を受けながらも、密かに彼女に対し、人目を避けたところで救いの手を差し伸べ、食糧などを援助する日本人達。そうしたヒューマニズムが胸を打ちます。


そして夫婦間で国が敵対しながらもお互いを支え合っていく夫婦愛。そんな中で健気に育っていくマリ子。


やっと戦争が終わり、秀成も昭和天皇の御用掛けになるものの……。その後は本を読んで下さい。涙無しには読めません。思い出すだけでこみ上げてきました。



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愛新覚羅慧生も『ハーフマニア』で出てくる悲劇的なハーフです。彼女の父は溥傑、満州国皇帝溥儀の弟です。母は嵯峨浩で、藤原鎌足まで遡れるという、天皇家に極めて近い名門の出。言わば日本と満州国の政略結婚で出来た夫婦です。戦後、溥傑は中華人民共和国で戦犯として禁固刑に処されました。そしてその間に慧生は学習院大学の学生と心中してしまいます。彼女は『完全自殺マニア』にも載っています。



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「ハーフの歴史」という章も設けています。ここでは日本の時代状況によって、どういった国と繋がりが出来、ハーフ達が生まれてきたのか、解説しています。


ハーフマニア

そんな中で「白系ロシア人」については、取り分け詳しく説明する面白みがあるので、この私がコラムを書きました。


意外な事実ですが、戦前まで日本に最も在留する白人はアメリカ人ではなく、白系ロシア人達でした。白系ロシア人というのは、ロシア革命から逃れてきた人達で、貴族や資本家、知識人、職人が多く、日本の文化にも大きな影響を与えました。有名なのは大鵬やスタルヒンでしょう。それ以外にも神戸に定住した、高級チョコレートの先駆けであるモロゾフ一家や、ゲーム会社タイトーの創業者ミハエル・コーガン、バイオリニストの小野アンナなどがいます。


尚、最近、白系ロシア人研究が盛んで、沢田和彦『白系ロシア人と日本文化』やポダルコ・ピョートル 『白系ロシア人とニッポン』、そして更には『満洲の中のロシア』や阪本秀昭『満洲におけるロシア人の社会と生活』といった本が刊行されています。


右からのページは「国際結婚した有名人」というコラムで、彼らの子ども達が「ハーフ」として有名になった訳ではないけど、両親自身で有名で外せない人達を紹介しています。例えば……

ラフカディオ・ハーン(小泉八雲 1850~1904)&セツ
トーマス・グラバー(1838~1911)&ツル
鈴木大拙(1870~1966)&ベアトリス・レイン
ジョサイア・コンドル(1852~1920)&くめ
新渡戸稲造(1862~1933)&メリー・エルキントン
野口英世(1876~1928)&メリー・ダージス
青木周蔵(1844~1914)&エリザベート
モルガンお雪(1881~1964)&ジョージ・モルガン
青山光子(1874~1941)&クーデンホーフ伯爵
来栖三郎(1886~1954)&アリス
李方子(イ・バンジャ 1901~1989)&李垠
ラス・ビハリ・ボース(1886~1946)&相馬俊子
ライシャワー(1910~1990)&ハル

等が歴史上有名な人達ですが、それ以外にも

ヒデとロザンナ
ポール・ギルバート(1966~)&エミ
千昌夫(1947~)&ジョーン・シェパード
スタニスラフ・ブーニン(1966~)&栄子
クロード・チアリ(1944~)&ジェーン矢田
イギー・ポップ(1947~)&ヤスヨ(スチ)・アサノ
デビィ夫人(1940~)&スカルノ大統領
布施明(1947~)&オリビア・ハッセー(1951~)
川崎麻世(1963~)&カイヤ(1962~)
淡路恵子(1933~)&ビンボー・ダナオ
小栗左多里(1966~)&トニー・ラズロ(1960 ~ )
有森裕子(1966~)&ガブリエル・ウィルソン
クルム・伊達公子(1970~)&ミハエル・クルム(1970 ~)
野村沙千代(1932~)&アルヴィン・エンゲル

など音楽や芸能で有名な人達も沢山います。私の知り合いでも国際結婚した人達は何人もいます。彼らの馴れ初めを聞くのもとても面白いですね。



ハーフマニア


中盤のコラムでは『ダバオの日本・フィリピン、そして沖縄・バゴボ人のハーフ』というのを設け、これも私が執筆しました。私自身、フィリピンに子どもの時に住んでいた事があり、企業駐在員などの在留邦人とはまた別の歴史を持つ、日系フィリピン人の存在が強烈に印象に残っています。


ハーフというとアメリカ人とのハーフが真っ先にイメージされ、どことなく憧れの対象になりがちですが、日本とフィリピンとの間のハーフは残念な事にあまり取り上げられる事がありません。戦後はジャパユキさんと日本人男性の間に生まれたジャピーノのイメージが強いからでしょうか。


そして戦前にも日本フィリピン間のハーフは大勢いました。戦前のダヴァオには東南アジア最大の日本人コミュニティがあり、満州国をもじって「ダヴァオ国」と揶揄されたりしていたのですが、その中でも沖縄移民が過半数を占めるほどの割合でした。そして沖縄系の人と、現地バゴボ族女性との間に生まれたハーフが大勢いました。


戦後彼らは日本人の血が入っているという事を隠して生き延びます。日本に来ようにも、日本との繋がりを証明する資料も乏しく、特に沖縄系の場合、日本ではなくアメリカ統治下にある訳で、更に困難になります。そして中国残留孤児などよりも日本で報道される機会に乏しく、困窮生活を強いられます。彼らは日本と諸外国の間に生まれたハーフの中でも最も苦労を強いられた人達かもしれません。


恵まれたハーフだけでなく、日本の歴史によって悲惨な目に遭ったハーフもいるという事を知って貰いたくて、私が書きました。


そんなこんなで『ハーフマニア』、一見サブカル風で、ポップなイメージですが、実は日本現代史の悲惨な部分、暗い部分を深く描いています。そしてとても勉強になります。私も編集していて、初めて知った事などが多く、とても学ばされました。是非是非、手に取ってみて下さい。



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tag : ハーフマニア 混血 国際結婚 ミスター・ユニオシ ドローイングスタジオ

プロフィール

ハマザキカク

Author:ハマザキカク
社会評論社のサバカルチャー編集者。チュニジア、フィリピン、イギリス、日本育ち。企画、組み版、カバー、全て一人で行っている。毎日必ず最低一企画は立案している。国際関係、共産趣味、変な物のコレクション、そして珍書を柱に、常時30企画を進めている。

手掛けた作品は
『世界各国女傑列伝』
『敗戦処理首脳列伝』
『ゴム銃大図鑑』
『人種マニア』
『超高層ビビル1・2・3』
『一発朗』
『即席麺サイクロペディア』
『ダメ人間の日本史』
『ダメ人間の世界史』
『ほったいもいじるな』
『エロ語呂世界史年号』
『いんちきおもちゃ大図鑑』
『ニセドイツ1・2』
『アルバニアインターナショナル』
『大使館国際関係史』
『ゴム銃オフィシャルガイドブック』
『時刻表世界史』
『世界の首都移転』
『ファーストフードマニア』
『コーラ白書』
『世界飛び地大全』

等多数。

今までハマザキカク個人名義で書店フェアを9回開催した。ブックファースト梅田店『濱崎誉史朗フェア』、三省堂神保町本店『ハマザキカクフェア』、有隣堂ヨドバシAKIBA『Cool Ja本』『Fool Ja本』マルサン書店『Cool Ja本』ジュンク堂書店新宿店『ゴム銃大図鑑フェア』『松マルクス本舗 松田健二の下で働く濱崎誉史朗が選ぶ共産趣味本』等。

現在有隣堂ヨドバシAKIバカVol4『夏葉原 懐かしい昭和のレトロ本』開催中!!』開催中!

この『Cool Ja本』ブログ2011年度スゴブロ4位受賞!

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