『ハーフマニア』の中身お見せします。その1

『ハーフマニア 日本の有名人の混血をカリカチュアで大紹介!』が先週から全国の書店で販売開始しました!
カバーはこんな感じです。真ん中を飾るのは「お・も・て・な・し」の滝川クリス

中身なのですが、各有名ハーフについて、その人の生い立ち、略歴、ハーフならではのエピソードや苦労話を紹介しています。そしてなぜその人がハーフなのか、つまりそのご両親がどういう時代に、どこでどうやって出会ったのかを詳しく辿っていて、人によってはハーフその人よりも、その親の伝記の方が読み応えがある事もあります。
ちなみにベッキーの父はローデシア生まれのイギリス人の空手家で、大阪出身の母と結婚しています。ローデシアと言えば『消滅した国々』でもお馴染みの、南アフリカとコンビを組んでいたアパルトヘイト国家。今はハイパーインフレをもたらした独裁者ハラレの国ジンバブウェで知られています。

沢尻エリカは母親がアルジェリア人という事で有名ですが、そのアルジェリアの中でも現地のベルベル系で、サッカー選手ジダンと同じカビル族と言われています。私ごとで恐縮ですが、チュニジアに住んでいた時も、アラブ系とは異なる肌の白いベルベル人が結構いたので、沢尻さんの風貌にも納得がいきます。
尚、フランスに移民したアルジェリア人の現地部族の中には、アルジェリア独立戦争の時に、フランス駐留軍の側に立って戦い、独立後、アラブ系アルジェリア人の復讐を恐れてフランスに逃れた「アルキ」(harki)と呼ばれる人々がいて、在仏アルジェリア移民のラッパー達の間でも軋轢があったりして大変興味がそそられるのですが、沢尻さんの親がそれに当たるかどうかまでは突き止められませんでした。

日本人のハーフでなくとも日本で活躍するハーフも収録していて、Crystal Kayは父親がアフリカ系アメリカ人、母親が在日韓国人です。他にも似た様な境遇の方に水原希子さんがいて、父親がアメリカ人、母親が在日韓国人です。あと実はアメリカの大スター歌手、Amerieもアフリカ系アメリカ人と韓国人のハーフですね。

青山テルマさんは祖父がトリニダード・トバゴ出身なのですが、アメリカのこれまた有名シンガー、Foxy Brownも両親がトリニダード・トバゴ出身の移民です。アメリカのR&B歌手やラッパーはアメリカ本土の黒人奴隷の子孫ではなく、アフロ・カリビアンの事が多いのですが、テルマさんの音楽的素養もカリブの影響が出ているのでしょうか。
右のユーモラスなカリカチュアの人物は森泉さんで、デザイナーの森英恵は祖母。森英恵の息子、顕とイタリア系アメリカ人の元モデル森パメラの間に生まれたのが森泉さんです。
という訳で、『ハーフマニア』では、とりわけ日本では多いとされるアメリカ人とのハーフについて、その親のアメリカ人が何系なのかまで、出来るだけ調査しました。日本の多くの人はアメリカ人を単に「アメリカ人」と思っている節がありますが、ルーツを聞くと、ドイツ系だったり、スコットランド系だったり、ユダヤ系だったりと、とても面白く、その事については『人種マニア』で取り上げました。

私が一番興味をそそられた人物がロシア人とのハーフ、川村カオリさんです。著者のミスター・ユニオシも最も思い入れが大きいようです。この方はエドワード・ファーロングとそっくりのボーイッシュなロック歌手ですが、38歳でガンで亡くなられています。ロシア人の母親も47歳の若さでガンで亡くなられました。
父親の川村秀さんは現在はロシア史研究家で、芥川賞を取った川村昇は実の兄です。また秀氏は冷戦真っ最中の1969年に商社マンとしてモスクワに赴任している時に、ホテルの鍵番をしていた18歳の娘エレーナに一目惚れ。その娘が川村カオリの母親という事です。尚、仲人はあの杉原千畝です。
川村カオリさんのエピソードからも分かる様に、ハーフの方々の生い立ちはその時々の時代状況に大きく影響を受けており、特に親同士の馴れ初めは国際関係学的にも非常に示唆に富んでおり、大変興味がそそられます。
『ハーフマニア』では有名人ハーフというミーハー根性で興味を持って貰って、そこから更にそれぞれのハーフのライフヒストリーを通じて、日本の対外関係史まで遡って理解できるという、一般教養書としての側面も兼ね備えており、国際関係や対日関係などに興味がある若い人達にとって、とても刺激的な本に仕上がっていると信じています。
今回の記事では女性の有名人に触れましたが、この本、カバーの軽妙さとは裏腹に、実は20万字越えと、かなりの大著なので、第二部の男性編については後日また別の記事で紹介したいと思います。
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Amazonの書影、ちょっと顔色が悪いぞ(笑)。
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