スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

このエントリーをはてなブックマークに追加

ハマザキカク最高レベル愛読書『日本・欧米間、戦時下の旅』その1。対日断交・宣戦布告した国リスト

私の読書人生で最も衝撃を受けた本の一冊、それは泉孝英著『日本・欧米間、戦時下の旅 第二次世界大戦下、日本人往来の記録』です。『世界飛び地大全』や『時刻表世界史』など国境にまつわる本を編集してきた私としては、この泉孝英さんのライフワークを先に知っていたら、どうしても自分が手掛けたかった、驚愕の企画です。



日本・欧米間、戦時下の旅―第二次世界大戦下、日本人往来の記録日本・欧米間、戦時下の旅―第二次世界大戦下、日本人往来の記録
(2005/07)
泉 孝英

商品詳細を見る



この本は成毛眞さんの書評会、東京HONZの時にも推薦した本で、長い間書評したいと思っていました。ただしあまりにもこの本について語りたい内容が多すぎて、気軽に書けるものではなく、ずっと大きな課題として残っていました。ハッキリ言ってこの労作的名著、1エントリー記事で書き尽くせる訳がないので、複数回に分けて紹介していこうと思い直しました。



時刻表世界史―時代を読み解く陸海空143路線時刻表世界史―時代を読み解く陸海空143路線
(2008/09)
曽我 誉旨生

商品詳細を見る



この本は第二次世界大戦の時、外国にいた日本人がどうやって日本から海外に行ったり、帰ってきたりしたのか、そのルートと手段を詳細に明らかにしています。著者の泉孝英さんは1936年生まれの京都大学名誉教授で、刊行時には京都中央診療所所長の様です。他の著書には『ガイドライン外来診療2011』『外来診療ハンディガイ』などがあり、正真正銘のお医者さんみたいです。もしかしたら実際に医学界では有名人なのかもしれません。



ガイドライン外来診療2011ガイドライン外来診療2011
(2011/03/17)
泉 孝英

商品詳細を見る



余談ですが『敗戦処理首脳列伝』の著者、麓直弘さんも京都大学の医学部に勤務されています。医者なのに歴史学者顔負けの歴史書を書いている、トンデモない人達が京都大学医学部にはいるみたいですね。私は医者にもなれないし、こんな歴史書も書けないですよ……。天は二物を与えすぎ!



敗戦処理首脳列伝―祖国滅亡の危機に立ち向かった真の英雄たち敗戦処理首脳列伝―祖国滅亡の危機に立ち向かった真の英雄たち
(2011/05)
麓 直浩

商品詳細を見る



なぜ戦時下の日本人の海外との往来を調べようと思ったかは、後書きに詳しく書いてあります。


六七年九月、ニューヨークへの留学の途上、ホノルル着陸の寸前には、真珠湾攻撃を重い浮かべた。十二月、ワシントンの街を訪れ、日本大使館前を通ったときには、開戦直前、日米断行の手交文の英文タイプ打ちに苦労する大使館員の姿を思い浮かべた。また、七二年八月、ストックホルムに留学した時には、日本大使館事務所に近い海岸通りを歩きながら、当時の駐在武官の終戦工作の苦労や、聞く耳を持とうとしない軍中枢への腹立たしさに苦悶した当時の関係者も、同じ景色を見ていたのかと感慨無量であった。大日本帝国政府のポツダム宣言受諾は、このスウェーデン政府を通じて英国、ソ連に伝達されたのである。七二年十一月、ベルンの街を訪れたときには、ポツダム宣言受諾の米国と中国への伝達は、この街のスイス政府を通じて行われたことに思いを馳せた。




分かります!この感情移入! 自分も歴史的現場に訪れると、「ここであれがあったのかー」と感慨にふけってしまうタイプです。


また幼少期にチュニジアに住んでいて、湾岸戦争が勃発した時、イラク寄りの姿勢を示したベンアリ・チュニジア政府の元で暮らす事を危惧したアメリカンスクールのアメリカ人達が、一斉に帰国した時の事を思い出します。日本人は国外脱出するまでには至りませんでしたが、チュニジア人、アラブ人の中には日本がアメリカ・多国籍軍サイドに付いている事を快く思っていない人も多く、在留邦人の間では緊張感が漲り、地方に駐在していた人達を、首都チュニスで匿ったりもしました。



世界飛び地大全―不思議な国境線の舞台裏 (国際地理BOOKS (VOL.1))世界飛び地大全―不思議な国境線の舞台裏 (国際地理BOOKS (VOL.1))
(2006/08)
吉田 一郎

商品詳細を見る



私自身がこの様な体験を子供の時にした為、在外邦人、日系人、日系移民、帰国子女の話には目がないのです。しかも現代史・第二次世界大戦マニアでもある訳で、戦時中に外国にいた日本人の逃避行劇なんて、まさに自分の関心分野のど真ん中。


それでまずは話をより分かりやすくするために整理し直すと、第二次世界大戦で日本と戦争状態にあったのが以下の国々です。要するに以下の国は日本人にとって敵国で、また日本人はこれらの国にとっては敵国人なので、抑留されたり、逮捕される前に脱出しなければならないのです!


『日本・欧米間、戦時下の旅 第二次世界大戦下、日本人往来の記録』のP100~P101に掲載されてある


「連合国の対日断交・宣戦布告(1941年十二月~四五年八月)」


自分で調べたところ幾つかの国の宣戦布告日などに史料によって相違があるみたいですが、大筋は合っているでしょう。

 

41

128

宣戦 米国、英国、コスタリカ、ドミニカ、ホンジュラス、グアテマラ、ニカラグア、エルサルバドル、ハイチ 

 

 

断交 メキシコ(参戦42522日)、コロンビア

 

129

宣戦 パナマ

 

1210

宣戦 オランダ、キューバ

 

1216

断交 イラク(宣戦 43117日)

 

1218

断交 ベルギー(宣戦 411220日)

 

1222

断交 ギリシャ(宣戦 45620日)

42

128

断交 ボリビア(宣戦 43128日)、ブラジル

 

330

断交 ノルウェー(宣戦 45711日)

 

413

断交 イラン(宣戦 45228日)

44

126

断交 アルゼンチン(宣戦 45327日)

 

127

宣戦 リベリア

 

922

断交 フィンランド

 

1031

断交 ルーマニア

 

115

断交 ブルガリア

45

16

断交 トルコ(宣戦 45223日)

 

226

宣戦 シリア

 

227

宣戦 レバノン

 

31

宣戦 サウジアラビア

 

412

断交 スペイン

 

523

断交 デンマーク

 

89

宣戦 ソ連




さて、これらの国からどうやって脱出するか? 言っておきますが、この頃は飛行機の国際直行便はほとんど飛んでいません。陸伝い、もしくは船で逃げるしかありません。



大使館国際関係史―在外公館の分布で読み解く世界情勢大使館国際関係史―在外公館の分布で読み解く世界情勢
(2009/04)
木下 郁夫

商品詳細を見る



あと第二次世界大戦というと日独伊VS米英と思いがちで(ソ連は日ソ中立条約があったので最後の最後)、他の連合国を見落としがちですが、例えばイラクやキューバ、ブラジル、ノルウェー、イラン、リベリア、トルコ、サウジアラビアなどと言った今では割と日本と友好的な国が当時、戦争状態にあった事が不思議ですね。何でこうした国々が日本に対して宣戦布告したのか、その国がその当時に置かれた状況、陣営を推測するのもまた外交マニアにとっての楽しみの一つ。


ちなみに第二次大戦トリビアですが、日本による宣戦布告はアメリカ、イギリス二カ国のみに対して行われたもので、他の宣戦布告・断交は全て相手国より行われたのでした! って本に書いてあります(笑)。私が突き止めた訳ではありませんが、よく考えたらそうかもしれないとあらためて目から鱗。


逆に日本と同盟・友好関係にあった国は以下の以前のこのブログのエントリー、


大戦末期1944年に東京に大使館を置いていた独、伊、フランス、デンマーク、ハンガリー、ルーマニア、フィンランド、ブルガリアの謎に迫る!



で紹介しています。この次の書評ではどういった日本人達が第二次大戦時、国外に居たのか、この本から紹介しようと思っています。とにかくこの本は超オススメ! 私が担当編集者だったら、つまらなかったら返金に応じるよと言いたいぐらい、現代史ファン、第二次世界大戦オタクにとって大興奮の本です。


関連記事

このエントリーをはてなブックマークに追加

tag : 泉孝英 淡交社 在外邦人 第二次世界大戦

プロフィール

ハマザキカク

Author:ハマザキカク
社会評論社のサバカルチャー編集者。チュニジア、フィリピン、イギリス、日本育ち。企画、組み版、カバー、全て一人で行っている。毎日必ず最低一企画は立案している。国際関係、共産趣味、変な物のコレクション、そして珍書を柱に、常時30企画を進めている。

手掛けた作品は
『世界各国女傑列伝』
『敗戦処理首脳列伝』
『ゴム銃大図鑑』
『人種マニア』
『超高層ビビル1・2・3』
『一発朗』
『即席麺サイクロペディア』
『ダメ人間の日本史』
『ダメ人間の世界史』
『ほったいもいじるな』
『エロ語呂世界史年号』
『いんちきおもちゃ大図鑑』
『ニセドイツ1・2』
『アルバニアインターナショナル』
『大使館国際関係史』
『ゴム銃オフィシャルガイドブック』
『時刻表世界史』
『世界の首都移転』
『ファーストフードマニア』
『コーラ白書』
『世界飛び地大全』

等多数。

今までハマザキカク個人名義で書店フェアを9回開催した。ブックファースト梅田店『濱崎誉史朗フェア』、三省堂神保町本店『ハマザキカクフェア』、有隣堂ヨドバシAKIBA『Cool Ja本』『Fool Ja本』マルサン書店『Cool Ja本』ジュンク堂書店新宿店『ゴム銃大図鑑フェア』『松マルクス本舗 松田健二の下で働く濱崎誉史朗が選ぶ共産趣味本』等。

現在有隣堂ヨドバシAKIバカVol4『夏葉原 懐かしい昭和のレトロ本』開催中!!』開催中!

この『Cool Ja本』ブログ2011年度スゴブロ4位受賞!

最新記事
カテゴリ
メールフォーム
お問い合わせはこちら hamazakikaku●gmail.com or hamazaki●shahyo.com (●を@に変えて下さい)でも可能です。

名前:
メール:
件名:
本文:

ハマザキカク関係者リンク
検索フォーム
アクセスカウンター
2011年1月7日から
オンラインカウンター
現在の閲覧者数:
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。