古田雄介さんの『故人サイト』、重版決定!

今、インターネットを中心に色んな所で話題になっている古田雄介さんによる『故人サイト』。昨年の12月の刊行以降、多数のメディアに紹介され、ネット書店でも在庫薄が長らく続いてきました。
その『故人サイト』を重版する事になりました。3月10日に取次に搬入します。なお現在までに頂いている保留注文も同時に一斉に搬入します。
この本が大きくブレイクする切っ掛けとなったのは、週刊読書人の明石編集長のツイートでした。現在までに4000近いリツイートといいねが付いています。
古田雄介「故人サイト」社会評論社。自らの死を予期しないまま亡くなった人たちが残したホームページ103サイトを紹介。これまた、すごい本を作ったなあ。 pic.twitter.com/Ii4sSJvwXO
— 明石健五 (@kengoa1965) 2015年12月16日
また相当多くのメディアに好意的に紹介されているので、一部を紹介します。
■ダ・ヴィンチニュース=「本書の「死に様」から学んでみてもらいたい」
■Blogos=「家族に不幸が訪れる場合も想定し、そのことを念頭に置いておきたい」
■リテラ=「各々のサイトの成り立ちや経緯などをまとめた労作」
■ウートピ=「インターネット上には変わらずに存在しているのが不思議」
■HRナビ=「大切にすること、これは決してタブー視することと同じではない」
■NHKラジオ=「この本は逆に生々しくて。ネットの力というものを感じました」
■日刊SPA=「途方もない作業を成し遂げた末に生まれた本である」
■週刊新潮=「その人を偲ぶためだけではなく、社会的な資料として必要とされるものも多いのだ」
■エキレビ!=「「死」を直接学ぶことができる機会と考えて、じっくり見ていいはずだ」
■withnews=「「すごい本を作った」「故人の想いが詰め込まれていてウルっときた」」
■Tokyo FM=「ネットからすくいあげた現代の聖書とも言える一冊です」
この本が刊行されてからも、Twitterで有名だったジャーナリストの早世や、学生に多くの死傷者が出たバス事故、海外での日本人の殺害事件など、SNSと死を考えさせられる出来事が沢山発生しました。
多くの人々がSNSで何かしらネット上に痕跡を残す様になり、今後ますます「死とインターネット」は身近なテーマになっていく事は間違いありません。生きている時に自らのインターネット上での行動、そして死後を考える事は無駄ではありません。
『故人サイト』が「ネットにおける死生観」を見つめなおす機会を提供出来れば幸いです。


古田雄介さんの『故人サイト』完成しました!

古田雄介さんによる『故人サイト 亡くなった人が残していったホームページ達』が完成しました! 中身をお見せします。カバーはこんな感じです。遺影とタブレットをイメージ。

帯を取ったところ。スタイリッシュです。

第一章は「突然停止したサイト」。運営者も自らの死を予期していなかったものです。

飲酒運転を自画自賛していた高校生が事故死。その後、自業自得という非難が殺到してしまった。

つい先日閉鎖されてしまったが、特例として巡礼サイトとしても最も有名だった飯島愛さんのブログを紹介。

各章末にはコラムが設けられています。これは運営主が死んだ後、ホームページがどういう顛末を迎えるかの分析。

飯島愛さんと似てますが、急逝された小悪魔agehaで人気だった方のブログ。

右ページにあるのは、消滅したサイトをどうやって復元して閲覧するかの方法。各章の末尾にはネット検索テクニックを披露。

あるバンドマンのブログ。走行中の車の中から投稿した30分後に事故死。

夫婦で世界一周の旅に出ていたものの、途中で2人とも病状悪化。そのまま死亡。そしてその後、ブログ本が出版された例。

今年の頭に最も震撼させた事件、イスラム国人質事件。後藤健二さんの4年前のツイートが掘り起こされ、4万RTされた。

死の前日まで自撮動画を配信し続けたアイドル。

コラムでネットで自らの死を偽った狂言サイトの数々。ミュンヒハウゼン症候群など同情心を引くためによるものと見られる。

自殺すると決めて、それまでの日々をカウントダウンしていったサイト。

恨みを抱いていた職場の同僚の実名をツイッターで呟いた後、自殺。

たまに発生する自殺の実況中継。閲覧者も最初は半信半疑で囃し立てる者もいる始末。

夫婦の闘病記録ブログ。奥さんは生まれたばかりの赤ちゃんを残して逝ってしまう。感動を呼び、書籍化、そしてドラマ化。

学術的に貴重な研究をホームページで残していた学者。その価値を大学が認め、死後も大学が資料館としてそのまま保存した。

番外編だが、17歳の娘を十年前に殺されたのに、未だに犯人が見付からない事件。父親は犯人捜しの為にブログを更新し続けてる。

これはかなり切ない。急逝された奥さんの生前の声をサンプリングし、それを加工して歌わせて曲を発表している夫。
という訳で特に印象的なサイトを紹介しましたが、こうしたサイトが103も載っています。正直、不気味なものもあれば、胸を打つものもあります。
ネット社会になってから、一般人が自らの文章を世間にそのまま公表する機会がますます増えてきました。そして今後、これから少子高齢化社会だけでなく、多死社会を迎える事となります。人々がネット空間に残した死、そこから見えてくるものも多いのです。
また古田さんは本業のライター、記者として有名で、そのドキュメンタリーテイストの文章は非常にスリリングかつエンターテイニングであり、読んでいてグイグイ引き込まれてしまいます。
この『故人サイト』、早ければ12月11日頃書店に並ぶ予定です。是非、お買い求め下さい。


古田雄介『故人サイト』が出ます!

『故人サイト 亡くなった人が残していったホームページ達』が出ます! 著者は古田雄介さんです。
更新直後に殺害、ツイート直後に事故死、
リアルタイム闘病記録、自殺実況中継、
ファン巡礼慰霊碑サイト……
それは遺書なのか、あるいは
ダイイングメッセージなのか!?
意図せざる「ネット墓標」を徹底調査!!
ネット社会になってから、一般人が自らの死を予期しないまま書き込んだ文章がネット空間に無数に残される様になった。一方、死を受け入れた上で最後のメッセージをネットに残す者も増えてきている。そうした4ケタにも上る膨大な「死者サイト」コレクションから特に印象的・特徴的・衝撃的な103サイトを紹介し自身の死に備える。
第一章 突然停止したサイト
本人が自分の死を予測していない、少なくとも予兆を表に出していないサイト
第二章 死の予兆が隠れたサイト
本人は死因に気づいていない、または表に出す気がないが、予兆が見えているサイト
第三章 闘病を綴ったサイト
病気の日々を長期間書き連ねているサイト、死と向き合って生きているサイト
第四章 辞世を残したサイト
本人による辞世の挨拶が残されたサイト。ただし、自殺したものは除く
第五章 自ら死に向かったサイト
自殺願望を綴って実行したサイト、自死をほのめかして消息を絶ったサイト
第六章 引き継がれたサイト 追憶のサイト
残された人々が長年引き継いで管理しているもの、追悼のために構築したもの
著者の古田さんは以前アスキーで「古田雄介の“顔の見えるインターネット”」を連載されており、日本有数のウェブサイトマニア。この「顔の見えるインターネット」でも、後に私が編集者として本を出す元となる「世界飛び地領土研究会」や「BLUE STYLE COM」「西洋軍歌蒐集館」などの著者にインタビューされています。その後、『中の人 ネット界のトップスター26人の素顔』という書籍で刊行されています。
そんなウェブサイトマニアの古田さんが長年集めてこられたのが、「既に運営者が死んでしまっているサイト」、すなわち「故人サイト」です。4ケタにも上る「故人サイト」を6つの類型に分け、それぞれの特徴や内容、運営者、運営者の亡くなり方などを分析・紹介しています。
古田さんは『ITメディア』で「古田雄介の死とインターネット」や「死後のインターネット」で、終活や人の死とインターネットについて研究されてきました。
ネットが一般市民にまで行き渡ってから十年以上の月日が経ちますが、そんな一般人が自らの死を意識しないまま書き込んだ文章がネット空間では無数に漂っています。一方、自身の死後を想定した上でネットで文章を残す人も増えてきています。
こうしたネット空間上にある、「死者によるサイト」を見つめ直し、いずれ来るであろう(それはこの直後かもしれない)自らの死をネット上でどう残していくのかを考えることは、現代のIT社会においてますます重要になってくると思われます。
本書『故人サイト』は早ければ12月11日頃、一般書店での販売を予定しております。


『ネットで見かけた信じられない日本語』が完成!

著者は「ネット誤植ハンター」三條雅人さん。副題は「うろ覚え・勘違い・言い間違い・誤植」です。

書店向けFAXDMに本の紹介記事が載っています。

20年ぐらい前までは「活字」は出版社なり、新聞社なりの校閲を経たものしか目にする事がありませんでしたが、ネット社会が到来してから、一般人が気軽にSNSやブログで書き込める様になった結果、信じられない勘違い言葉が大量に出回ってしまっています。それを集めたのがこの『ネットで見かけた信じられない日本語』です。

それでは早速内容紹介に行ってみましょう。まず第一章「当然すみません」。これは「突然すみません」の間違いなのですが、この様に覚えてしまっている人が沢山います。今、実際に検索してみると1280件もヒット。「言うまでもなく申し訳ありません」という意味が込められているのかもしれませんが……。
「当然すみません」検索結果

勘違いが絵になるものは実際、絵にしました。例えば「感情輸入」。これは「感情移入」の事ですね。それと「定員オーバー」を「店員オーバー」と勘違いしている人も多数。

「99割」。これは「9割9分」つまり「99%」の事だと思われます。当初はギャグで言われ始めたフレーズの様なのですが、この様な言い方が自然に溶け込んでしまって、これをそのまま使ってしまっている人達が多数発生している様です。
あと「超高速ビル」。これも言うまでもなく「超高層ビビル」……じゃなくて、「超高層ビル」の事ですが、なぜかこう書き込んでいる人もいるみたいです。

「二十歳こそこそ」。これは「二十歳そこそこ」。こう勘違いしているというのは信じられないですね。

イラスト化は不可能だったけど、トップレベルでウケるのが「レンシレンジ」。これはカバーの検索例にも載っています。「レンシ」って何? しかし実際「レンシレンジ」で検索すると、8470件も出てきてしまうという、悲惨な状況。もちろんギャグとかワザと言っているのも含まれます。
「レンシレンジ」:検索結果

また三條さんは、テレビの誤植を発見するのも得意で、そうしたものも多数収録しています。これは誤植と言えるか分かりませんが、最近増えてきている「えっ-!」というテロップ。発音上無理がある気がします。

コラムも多数用意してます。例えば序数詞ってありますよね。英語では「ファースト」「セカンド」みたいなやつ。これセカンドも「2st」と表記している人が結構いるんです。発音すると「セカスト」?
そんなこんなで全部お見せする訳にはいきませんが、合計で700以上の勘違い言葉を収録しています。2100円でちょっと高いと思われたかもしれませんが、実に384ページにも上り、かなり分厚いです。『ネット誤植辞典』と言っても良いような内容です。

さて実はこの『ネットで見かけた信じられない日本語』ですが、この出版に至るまでの恩人がいます。それは私が以前編集に携わった『ほったいもいじるな 外国人に、声に出して読んでもらいたい日本語』の根本陽一さんです。
『ほったいもいじるな』は5年前に出した、英語のフレーズを組み合わせたら日本語の文章になるという、音声CD付きの珍企画です。
この著者の根本さんと初の顔合わせをした時に、「他にどういうサイトが面白いのか?」聞いたら、三條さんのブログを紹介してくれました。
実は最初にブログを見た時には私の判断能力が鈍く、気に留めていなかったのですが、数年後にもう一度見直して見ると、信じがたい勘違い言葉のオンパレードに衝撃を受け、これは本にした方がいいと気が付いたのです。
メールを見返してみると、私が三條さんに打診したのは2013年の春。根本さんから教えて貰ってから3年後でした。そして企画を開始してから2年経って刊行される訳です。実は三條さんにはかなり早い段階で仕上げて貰っていたのですが、私の方で色々と堰き止められてしまっていて、だいぶお待たせしてしまいました。
それはともかく『ほったいもいじるな』の根本さんの紹介がなければ、出なかったので根本さんには大感謝です。
さてこの本、実は図書館関係から予想以上の注文が入ってきてます。下手すると刊行直後の時点で在庫薄の可能性が出てきてます。
本が発売されるのは来週の7月16日頃です。是非、お買い求め下さい。
それからこの本の刊行に合わせて、公式botが出来ました。是非、こちらもフォローしてみて下さい。
うろ覚えな日本語bot


『消滅した国々 新装改訂版』が出来上がりました

お待たせしております。長い間、在庫切れだった『消滅した国々』の「新装改訂版」が出来上がりました。著者は『世界飛び地大全』や『国マニア』、そしてさいたま市議会議員でも知られる吉田一郎さんです。初版が出てから国際情勢も変わったので、現状にアップデートして改訂版として出した訳です。

見ての通り、非常に分厚く712ページもあります。校正する時に、最初から最後まで一通り読むだけでも2週間は掛かります。

帯を取ったところです。当初チラシではミロシェヴィチを載せていましたが、吉田さんの希望により、南ベトナムのグエン・バン・チューに変わりました。吉田さんの世代ではこちらの方が馴染みが深いという事と、ゴルバチョフとミロシェヴィチの存在がやや似ているからです。

初版以降、政治的変動があった国や地域は多くありますが、未だに情勢が流動的なのがイエメン。この国はかつても分断国家だった事自体が印象に薄いですね。

昨年から今年に掛けては『アイラブユーゴ』というユーゴスラヴィア・ノスタルジー本が、社会評論社からシリーズで出ました。どういう経緯でこの国が建国され、そして崩壊したのか、その流れを簡単に知る事もできます。
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『消滅した国々』の中で、ソマリアが崩壊した後に出来た国々を複数紹介しています。この本が出た後、高野秀行さんによる『謎の独立国家ソマリランド』が出ました。そして吉田さんと高野さんはその後、一緒に『読書人』の座談会に出たり、ラジオ番組にも出たりしました。
私個人も『謎の独立国家ソマリランド』を読みましたが、これも520ページにも上る相当な大著ですが、非常に読み応えがありました。無政府主義の方が民主主義が機能していると逆説的に解釈できる本で、非常に示唆に富んでますが、色んな書評が出てますので、私が改めて述べる程でもないでしょう。

本書では『ニセチャイナ』で登場する蒙古聯合自治政府の流れを汲む内モンゴル人民共和国なども。

初版が出た後にリー・クアンユーが死去しました。シンガポールって、一度便宜的に消滅していたって知っていました?

今回最大の政変がウクライナ戦争やクリミア併合ですね。この部分がアップデートされてます。

個人的に今後、消滅する可能性あるとしたら考えられるのが沿ドニエストル。沿ドニエストル自体は一応残っているので、この本での取り扱いはありませんが、モルドバの中にあったテュルク系のガガウズ共和国。今回何かアップデートされた訳ではありませんが、興味深い国です。

イエメン騒乱ではフーシ派とかアラビア半島のアルカーイダなど、色々訳の分からない状況が続いてますが、元々ラヘジ土侯国、サッバイハ族地方、ファドリー土侯国、上アウラキ・スルタン国、上アウラキ・シャリフ国、下アウラキ土侯国、ワーヘディ土侯国(バル・ハーフ)、ワーヘディ土侯国(ビル・アリ)、ワーヘディ土侯国(バッハン)、アワーゼル土侯国、上ヤーファ土侯国、下ヤーファ土侯国、アラウィ族地方、コタイビー土侯国、ハワーシェブ土侯国、アクラビ土侯国、ダーラ部族連合(ダリ土侯国)、クアイチ土侯国、カシーリ土侯国、マハラ土侯国、カルバ首長国など色々あった訳で、もともと相当複雑。この辺の国々ってそもそも日本のイエメン史の本でも詳しく語られてるんでしょうかね?

あと直接、今回の新装改訂版では直接的にはアラブの春やイスラム国によって、崩壊した国はありませんが、間接的に影響があったのがリビア。

最近、社会評論社から寺山恭輔著『スターリンと新疆』という大著が出ました。詳しく知りたい方はこの本をご覧下さい。

リビアは一体、今どうなってるのだが現状が伝わってきませんね。

トゥアレグ族によってアザワドが建国されるも、イスラム系過激派アンサール・ディーンによって潰される。
と、ざっと『消滅した国々』の「新装改訂版」を紹介しました。冷戦が崩壊した後、「歴史の終わり」とか言われておきながら、たった三年で一部内容を書き換えないといけないぐらい、国際情勢は移り変わり続けています。この後も何が起きるか分かりません。実にイタチごっこのようです。
次に改訂版が出る時は実際にある国が消滅した時でしょうか?
書店には早いところであれば本日、6月23日頃から販売開始しています。

