ハマザキカクが出版業界の勉強会「でるべん」で話す内容について解説
●過去の勉強会リスト● 福嶋聡さんや清田義昭さん、ケイクスの加藤貞顕さん、そして盟友空犬さんも
そのでるべんの勉強会に、私ハマザキカクが講師として登壇する事になりました。テーマは「ハマザキカク流 オリジナリティのある企画の見つけ方・立て方・通し方」
ハマザキカク氏と言えば一風変わった書籍の企画で有名です。昨年は初の著書となる『ベスト珍書』(中公新書ラクレ)も出されました。氏が今までどうやって変な企画を見つけ、アイディアをどういう切り口で書籍化したのか。情報収集や発想のコツだけでなく、理解が得られにくい企画を会社で進める方法、書店でフェアを展開する際のコツについてもお話し頂きます。皆さまふるってご参加下さい。
そう、私のあだ名は「ハマザキカク(濱崎の企画)」の通り、企画型編集者を自任しています。社会評論社に入社してから「類書がない、先行書がない」をモットーに数々の珍企画を編み出してきたと自負しています。多くのものが「珍書」とカテゴライズされるかもしれないし、それはそれでいいですが、その一方で学術的にも評価が高い真面目でユニークな研究書も出してます。
今回のでるべんではまず、今まで私がどうやって、こうした珍企画の著者、あるいはネタを見付けてきたのか、その調査方法や情報源について解説します。正直、この情報源については、企業秘密でもあり、将来的に先に奪われる可能性もある内容なので、今まであまり大っぴらにしてきてませんが、今回のでるべんでは特別に、可能な範囲で紹介しましょう。
また珍企画を生み出す為には、情報収集だけでなく、奇抜なアイデアを編み出す発想法も必要不可欠です。以前、一日一企画必ず立案するノルマを課していた時にやっていた、発想法のコツについて披露します。アイデアマンと言われる事が多いですが、これはいきなり閃く訳ではなく、日々の地味な日課やルーティンをこなす内に自ずと下地が出来るもので、実はある程度パターン化できます。
そして珍企画をプロデュースする上で、必要なのは情報収集や発想法だけではありません。面白い内容を更に面白くみさせる編集技術が必要です。その編集技術についても説明します。タイトルの付け方や、カバーの作り方、見出しや帯、FAXDMのコツなど、実践的な話です。
これらの話は、誰からも教わった訳ではなく、自ら試行錯誤して確立していったもので、言ってみれば「編集ウラ技」の様な物。今まであまり公に話した事もないので、人にとっては有意義かもしれません。また自分で何から何までやらないといけない小出版社故に培ったテクニックの数々なので、編集の専門学校の講座などでは全く教えてくれない内容だと思います。DTPやカバーデザイン、フェアなど全部自分一人でやらざるを得なかった結果、身に付けた数々のウラワザです。
そして珍企画のネタも技術も揃ったとしても、実際にプロジェクトとして推進する上では、社の同意を得なければいけません。いつも聞かれるのが企画会議の事。社会評論社の場合、必ずしも一般化できる訳でもないかもしれませんが、うまーく話を進めるコツがあります。日々企画会議で潰されている他社の編集者によくアドバイスしている話をしましょう。これはある程度普遍的に応用可能だと思ってるやり方です。
また企画が実際進んだとしても、著者が原稿書いてくれなければ、どうしようもありません。著者をどうやってやる気にさせるかについても話しましょう。
そんな訳で、今回のでるべんの勉強会、編集者や編集者を目指す人にとっては、かなり有意義で実践的な内容になるのではないかと自負してます。よく話す内容をイメトレしてます。この業界に入ったばかりの時の私に、今の私が話しかける様な内容をイメージしてます。そうすれば紆余曲折、道草喰わずに済み、手っ取り早い。
是非是非、お越し頂ければ幸いです。来週の金曜日、2月20日金曜日19:00~20:45、水道橋・貸会議室「内海」です。
その後、懇親会も開いて下さるそうです。以前に比べてほとんど出版業界の飲み会や集いに顔を出さなくなった私ですが、この懇親会にはもちろんいますので、何か私に話しがしたい方は是非いらして頂ければ幸いです。
でるべんの告知サイト「2015年2月勉強会:ハマザキカク流 オリジナリティのある企画の見つけ方・立て方・通し方」


ブックファースト阪急西宮ガーデンズ店で『ハマザキカクフェア』やっています!
私は今回はフェア会場に訪れる事は出来なさそうなので、写真を送って貰いました。西宮など関西方面の方々、ぜひお立ち寄り下さい。



『アイラブユーゴ2 男の子編』出来ました!

『アイラブユーゴ2 男の子編』が完成しています! 今回の巻では男の子ウケする、車やサッカー、建築などを扱っています。著者は引き続き、百瀬亮司さん、亀田真澄さん、山崎信一さん、鈴木健太さんの若手東京大学ユーゴ研究閥です。
ユーゴスラヴィアというとストイコヴィッチやオシムが出身のサッカー大国で有名で、サッカーを通じてこの国に興味を持った方も多いのではないでしょうか。また日本で刊行されているユーゴ関係の本の三分の一ぐらいがサッカーにまつわる本(残りの三分の一が紛争本)と言えるかもしれません。

オビを取った様子です。1と繋がっていて、☆が象られているのが分かります。早く3を完成させたいですね。

目次。右に写るのは『紅の豚』に出てきそうな、クロアチアの水陸両用複葉機。

最初の方ではユーゴスラヴィア経済を知る上での基礎的な話を解説しています。1993年にセルビアとモンテネグロだけとなった「ユーゴスラヴィア連邦共和国」の時には、国連による経済制裁の為、ハイパーインフレに見舞われ、5千億ディナールという高額紙幣も登場。20世紀の高額紙幣として最高記録だそうです。

共産主義の東側陣営と思われがちなユーゴスラヴィアですが、そうでもなく、東欧の分業体制から閉め出されてしまったせいで、西側の企業と協力体制を構築し、オースティンやルノー、フォルクスワーゲンなど沢山の西側自動車メーカーとの合弁会社ができました。

アドリア海に面していたユーゴスラヴィアは海運業が盛んでした。右の写真はニューヨークまで運行されていたユーゴの船。また造船業も盛んで、なんと1989年には建造量で日本・韓国・中国に次ぐ、世界4位だったとの事。結構驚きの事実ですね。

軍事マニアからも大人気のユーゴスラヴィア。サバイバルゲームや軍装のジャンルでもかなり注目の国。そんなユーゴの自動車メーカーザスタヴァはカラシニコフ銃「ザスタヴァM70」を作っており、非同盟諸国の間で流通してしまい、イラクなどの紛争地帯でもよく用いられる兵器との事。

お次は社会主義団地。今見るとこうしたコンクリートの無機質な建物は寒々しく、また廃墟っぽくてあまり住み心地が良くなさそうですが、社会主義時代は先進的で未来風のイメージが強く、子ども達まで動員して建築に勤しんだらしいです。

特におどろおどろしいのが「ルード」というまるでゴッサムシティに建ってそうな、100メートル近くの三棟セットの団地。この団地の気色の悪さは圧倒的です。色んな写真が出てくるので是非「rudo beograd」などでも検索してみて下さい。

結構有名な話ですが、マケドニアのスコピエで大きな地震があり、破壊された街の再建計画に、日本人の建築家、丹下健三が携わりました。コンクリート剥き出しの直線的なブルータリズム建築が乱立しており、独特の街並みです。

ユーゴスラヴィアには東ドイツのトラバントと並ぶ有名なポンコツ車「ユーゴ」が有名です。なんとこの自動車メーカー、1980年代末には「ユーゴ・フロリダ」という名前で、アメリカにまで輸出されていたのです。ユーゴスラヴィアが「旧東側」というイメージを持っている人にとっては、かなりの驚きではないでしょうか。

チンチン電車の項目。他のページでは鉄道やバスなどの交通機関も扱っています。街並みがとてもノスタルジックで良い味出してますね。

ユーゴスラヴィアのナショナルキャリアJATの紹介。JALにも似てます。ユーゴスラヴィアは美人が多いのでも有名で、スチュワーデスも綺麗な人が多いです。

これもユーゴスラヴィアが東側とか共産主義と思い込んでいる人にとっては意外に思える、JATが運行していた国際路線図。1987年のものですが、ニューヨークやロサンゼルス、モスクワやティラナ、ヨーロッパの主要都市、バグダッドやダマスカス、ドバイなどの中近東、カルカッタやクアラルンプール、シンガポール、そして北京、果てはシドニーにまで飛んでいました。残念ながら日本との結び付きはそれほど強くなかったので、日本にまでは飛んでいませんでした。

最後の方でようやくですがサッカーの章。左は若き日のオシムのお顔。右は日本でも活躍したピクシーがあだ名のストイコヴィッチ。

パルティザンやハイドゥク、ズヴェズダ、ディナモと言った悪名高いとも言える名門クラブ達。こうしたサッカーチームは元々、ユーゴスラヴィア人民軍や反ファシズム青年同盟など、社会主義的な組織を由来にしていましたが、徐々に民族主義の影響を受け始めます。

フーリガン達の地元チームに対する郷土意識が民族主義に転化し、ユーゴ内戦にも大きな影響を与えたと言ってもいい状況に。

ユーゴスラヴィアはバスケ強豪国としても有名ですが、これなんか見ると、まるでアメリカの様です。

東欧で唯一開催されたサラエボオリンピック。その数年後に、悲惨な戦場と化すとは思いも寄らなかった、複数の民族が平和に混住する最もユーゴスラヴィア的な都市サラエボ。
とまだまだ紹介したいページは沢山あるのですが、これぐらいにしておきましょう。他を知りたい方は、是非お買い求め下さい。
という訳で、この「男の子編」では、ある意味最も一般的な意味で「ユーゴスラヴィア」でイメージされる内容の物が多く、特に男性諸氏が気になるテーマを扱っています。「共産趣味度数」が最も高い巻と言えるでしょう。
この巻単独でも十分楽しめますが、何でこの様な物を生産したり、特殊な経済体制を取ったり、色んな国と仲良かったり、最終的に崩壊したのか、そうした国の歴史や政治的な話を知った上で読んだ方が遙かに理解力が高まるので、出来れば『アイラブユーゴ1 大人編』も合わせてお読みになる事を強くお勧めします。
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TBSラジオ『荒川強啓デイキャッチ』に出演します!
荒川強啓デイキャッチのホームページ
同番組に出演している方々の顔ぶれを見ると、有名な方々ばかりでビビリます。
私は『ベスト珍書』の中から選りすぐりの珍書について、語ります!
私が出るのは5時頃の様です。パソコンのRadikoでも聴けます。是非是非ご試聴下さい!


tag : 荒川強啓デイキャッチベスト珍書ハマザキカク
JFN『デイリーフライヤー』とKNB『でるラジ』に出演します!
13時からは全国28局ネットで放送されるJFNの『デイリーフライヤー』です。「秋の夜長に世界の珍書」という題目で、『ベスト珍書』について語る予定です。
デイリーフライヤーのサイト
14:40からはKNB(北日本放送)の『でるラジ』です。富山県のラジオ局です。こちらの番組でも『ベスト珍書』について話します。富山県のBOOKSなかだ本店では『ベスト珍書』のフェアも開催されています。
でるラジのサイト
『ベスト珍書』、Amazonでは在庫切れが続いてしまっている状況ですが、大好評です。昨日は出版系ニュースサイト、リテラに記事を寄稿しました。
リテラ「こじき百科、職質集、性器図鑑…『ベスト珍書』著者が選ぶ本当にヤバい本5冊」


tag : ベスト珍書